★一酸化炭素中毒★
一酸化炭素は無色・無臭のガスで、吸いこむと血液中の酸素運搬が阻害され、体の各組織が酸素を効果的に使うことができなくなります。少量であれば無害ですが、血液中の一酸化炭素濃度が高くなりすぎると中毒が起こります。一酸化炭素は数時間後に血液中から消失します。
火災による煙には、特に不完全燃焼している場合は、一酸化炭素が含まれています。換気が悪い場所では、自動車、暖炉、温水暖房器具、ガス暖房器具、石油ストーブ、まきストーブ、練炭などが原因で、一酸化炭素中毒が起こることがあります。タバコの煙を吸引すると、血液中の一酸化炭素濃度は上昇しますが、普通は中毒症状を引き起こす量ではありません。
★症状と診断
軽度の一酸化炭素中毒では、頭痛、吐き気、嘔吐、体調不良が起こりますが、多くの場合、新鮮な空気を吸うことで回復します。中度から重度の一酸化炭素中毒は、錯乱、意識消失、胸痛、息切れ、昏睡が起こります。そのため犠牲者の多くは自力で動くことができなくなり、救助が必要となります。重度の一酸化炭素中毒は、しばしば死に至ります。まれですが、重度の一酸化炭素中毒が明らかに回復してから数週間後に、記憶喪失、体調不良、排尿障害(遅延型の神経精神症状とみなされています)が生じることがあります。
一酸化炭素中毒が危険なのは、患者が眠気を中毒の症状だとは認識しないからです。そのため軽度の中毒患者が眠ってしまい、重度の中毒や死に至るまで、一酸化炭素を吸い続けてしまいます。長期にわたる暖炉や暖房器具の使用による軽度の一酸化炭素中毒では、インフルエンザやウイルス感染の症状と間違えることがあります。
一酸化炭素中毒は、血液中の一酸化炭素濃度を測って診断します
★予防と治療
一酸化炭素中毒の予防のためには、室内のガス暖房器具やたきぎストーブなどに適切な換気装置を設置します。設置ができない場合は、窓を開け、一酸化炭素を建物の外に排出し、室内にたまるのを防ぎます。暖炉やその他の暖房器具に取りつけられた排気口は、定期的に点検しひび割れや裂け目がないかを調べます。空気中の一酸化炭素を検出してアラームが鳴る家庭用の警報機もあります。こうした検出器を使えば、中毒になる前に、一酸化炭素の蓄積を察知できます。火災報知器と同様に一酸化炭素の警報機も一般家庭に設置が推奨されています
軽度の中毒なら新鮮な空気を吸うだけで回復します。重症の場合はフェースマスクを使って高濃度の酸素を吸わせます。酸素は血液中の一酸化炭素を消滅させ、症状を緩和します。高圧酸素治療(高圧室で行われます)の効果はまだ明らかではありません。
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